■ 〜 チャートとは一体何なのか? 〜 ■チャートとは一体、何でしょうか。
株式投資の世界にいると、あまりにも身近であり過ぎるために、ふと考えることがあります。
単純に言えば、チャートは株価の変動をグラフ化したものに過ぎません。
時間が進むにつれて、2色のローソク足が機械的に現れていくだけです。
しかし、そんな株価チャートも不思議なもので、長い期間、眺めていると何度も同じパターンに遭遇します。
既視感と言いますか、以前経験したことのあるチャートパターンに必ず出会います。
そして、それらのチャートパターンは、ほとんどが同じような値動きをします。
上がるチャートパターンもありますし、上がりそうだけれども下がってしまう可能性が高いパターンも存在します。
■ 〜 株価はランダム・ウォーク? 〜 ■一方で、株価変動は「ランダム・ウォーク」だとする理論があります。
ランダム・ウォーク理論では、株価の値動きはすべてランダムであって、将来の値動きを予測することには何の意味もたらさない、としています。
そのため、市場が効率的であるならば、インデックス・ファンドが最も高いパフォーマンスになる、ということに繋がります。
※インデックス・ファンド日経平均やTOPIXなどの指標(インデックス)に連動させるように運用する投資信託のこと。
しかし、前提にある「市場が効率的であるならば」というのが、果たして成り立つのか?というのが最大の疑問点です。
要するに、株価はすべての情報を織り込み、期待値が同じであるならば、行動も同じになるということで、投資家は常に合理的な行動をする、ということです。
ただ、これは難しいでしょう。
株式投資は需給で成り立っており、投資家の知識や経験のレベルが違いますしまして投資資金量は投資レベルに比例するわけではありません。
■ 〜 「損大利小」は人間の本能 〜 ■ 特に、行動経済学(行動ファイナンス)におけるプロスペクト理論では人々が与えられた状況によって、違った行動を取ることが証明されています。
具体的には・・・
(A)無条件で10万円もらえる
(B)50%で20万円もらえるが、50%で0円
上記のような2つの選択肢があった場合、どちらも期待値は10万円になるので市場が効率的であるならば、2つの選択率に差は出ないことになります。
しかし、実際には60%の人が(A)の10万円をもらえる方を選ぶ、という実験結果になっています。
一方・・・
(A)無条件で10万円取られる
(B)50%で20万円取られるが、50%で0円
今度のケースでは、どちらも期待値はマイナス10万円で同じですが、実験結果では、70%の人が(B)を選ぶそうです。
この実験結果から分かることは、1つは人は必ずしも合理的な行動を取るわけではない、ということ。
もう1つは、同じ金額でも損失の方を過大に評価するということです。
これを、行動経済学では「損失回避性」といいます。
これを投資家に当てはめて考えると、「10万円の利益よりも10万円の損失による心理的な負担の方が大きい」ということになります。
つまり、「損大利小」(損切りできず利食いが早い)は人間の心理として、自然な行動だというわけです。
そして、株式市場において投資家が必ずしも合理的な行動を取らない、ということは、市場は常に効率的ではないということです。
だからこそ、「特定のチャートパターン」によって利益を出すことが可能となります。
投資家が合理的な行動を取らないからこそ、株式投資で勝つことを仕事とする証券ディーラーが存在できるのです。