25日の東京株式市場は、次期日銀総裁にアジア開発銀行(ADB)総裁の黒田東彦(はるひこ)氏の起用が固まったことを好感し、日経平均株価は前週末比276円58銭高の1万1662円52銭と4年5カ月ぶりの高値で取引を終えた。
外国為替市場の円相場も、一時、1ドル=94円77銭と2年10カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけた。
衆参両院での同意を得て正式決定となるが、今後は市場の期待をどう実行に移していくかが焦点になりそうだ。
安倍晋三首相は、3月19日に退任する白川方明(まさあき)総裁の後任に黒田氏、副総裁2人には、学習院大の岩田規久男教授と日銀の中曽(なかそ)宏理事を充てる人事を固め、公明党の山口那津男代表に伝えた。
株式市場では、積極的な金融緩和派とみられる黒田氏と岩田氏が含まれていることから、「新体制発足後、一段と金融緩和が進む」との期待感が先行し、今月20日につけたリーマン・ショック後の高値(終値1万1468円28銭)を更新した。
週末の日米首脳会談で安倍首相が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加に前向きな態度を示したことも株価を下支えした。
外為市場では早朝に円安が進行したあとは円を買い戻す動きもあり、午後5時時点は前週末比86銭円安・ドル高の1ドル=94円13~14銭。
今月中旬の主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、通貨安競争の回避を確認したことから、「一方向の円安は進みにくい環境にある」(大手証券)という。
黒田氏の評価が高いのは、以前からインフレ目標政策を支持してきた金融緩和論者であることに加え、財務官経験者でもあり「国際的な情報発言力に信頼感がある」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)ためだ。
「財務省出身の黒田氏、日銀出身の中曽氏、学者の岩田氏とバランスに配慮した点は評価できる」(SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジスト)との見方も多い。
市場では一時、総裁候補として財務省出身の武藤敏郎・大和総研理事長も取りざたされたが「『積極緩和派』とはいえない武藤氏が起用されれば、市場は落胆する可能性があった」(エコノミスト)との声もある。
市場は、新体制がいつ、どのような緩和策を打ち出すかに注目している。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「社債や株式など幅広い資産を買い入れることに前向きな黒田氏と、買い入れる国債の残存期間を(現行の3年から)5年に伸ばすことを主張する岩田氏では緩和手法が異なる」と指摘。
マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは「急進的な緩和論者である岩田氏の主張に、現行メンバーから反対意見が出る可能性もあり、どう調整するかが注目だ」と話している。
【浜中慎哉】
外国為替市場の円相場も、一時、1ドル=94円77銭と2年10カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけた。
衆参両院での同意を得て正式決定となるが、今後は市場の期待をどう実行に移していくかが焦点になりそうだ。
安倍晋三首相は、3月19日に退任する白川方明(まさあき)総裁の後任に黒田氏、副総裁2人には、学習院大の岩田規久男教授と日銀の中曽(なかそ)宏理事を充てる人事を固め、公明党の山口那津男代表に伝えた。
株式市場では、積極的な金融緩和派とみられる黒田氏と岩田氏が含まれていることから、「新体制発足後、一段と金融緩和が進む」との期待感が先行し、今月20日につけたリーマン・ショック後の高値(終値1万1468円28銭)を更新した。
週末の日米首脳会談で安倍首相が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加に前向きな態度を示したことも株価を下支えした。
外為市場では早朝に円安が進行したあとは円を買い戻す動きもあり、午後5時時点は前週末比86銭円安・ドル高の1ドル=94円13~14銭。
今月中旬の主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、通貨安競争の回避を確認したことから、「一方向の円安は進みにくい環境にある」(大手証券)という。
黒田氏の評価が高いのは、以前からインフレ目標政策を支持してきた金融緩和論者であることに加え、財務官経験者でもあり「国際的な情報発言力に信頼感がある」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)ためだ。
「財務省出身の黒田氏、日銀出身の中曽氏、学者の岩田氏とバランスに配慮した点は評価できる」(SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジスト)との見方も多い。
市場では一時、総裁候補として財務省出身の武藤敏郎・大和総研理事長も取りざたされたが「『積極緩和派』とはいえない武藤氏が起用されれば、市場は落胆する可能性があった」(エコノミスト)との声もある。
市場は、新体制がいつ、どのような緩和策を打ち出すかに注目している。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「社債や株式など幅広い資産を買い入れることに前向きな黒田氏と、買い入れる国債の残存期間を(現行の3年から)5年に伸ばすことを主張する岩田氏では緩和手法が異なる」と指摘。
マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは「急進的な緩和論者である岩田氏の主張に、現行メンバーから反対意見が出る可能性もあり、どう調整するかが注目だ」と話している。
【浜中慎哉】