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直近の決算発表予定

2013年8月17日土曜日

証券ディーラー「プロの視点」(8/17)

◇安倍首相も夏休み。夏枯れ相場はいつまで続く?まさに夏枯れ相場だ。東証1部の売買代金は5営業日連続で大台の2兆円を下回った。日経平均株価が300円安となった14日は、今年5番目に少ない売買代金となっており、下値を支える投資家がいないことがわかる。もちろん、8月は例年商いが薄くなる時期。日米の決算発表が終わって材料が不足しがちになるとともに、多くの市場関係者が夏季休暇シーズンに入ってしまうからだ。ちなみに、安倍首相も20日まで約10日間の夏休みに入っている。先月21日の参院選で大勝し、今年の大きな目標だった"ねじれ国会"の解消を果たしたところで相場と同様に一休みといったところだろうか。◇薄商いのなかで株式市場は乱高下も終わってみれば先週末と変わらず足元の株式市場の動向を見てみると、出来高の少なさに反して値動きは大きい。確かに、商いが薄いということは、普段は大きな影響を及ぼさない程度の売買が思わぬ相場の乱高下を演出することはある。ただし、売買代金が2兆円を下回った今週1週間の値動きを見てみると、日中値幅は178円〜308円と5日間の平均で238円という非常に大きなものとなっている。一方で、先週末9日の日経平均終値は13615円であるから、1週間乱高下しつつも終わってみれば(16日終値は13650円)35円しか動いていない。テクニカル的に見れば、ちょうど三角保ち合いのような形状になっていて、相場が大きく動きだしそうな状態ではある。だからこそ、上に行っても下に行っても反対の動きが出にくいということだろう。ただ、振り返れば昨年の8月は記録的な薄商いだった。8月15日〜9月6日まで、東証1部の売買代金は17営業日連続で1兆円を下回っていた。足元の相場が薄商いだとは言っても1兆円台後半であるから、昨年の今頃を考えると贅沢な悩みかもしれないが、直近のボリュームからの減少を考えれば、体感的には十分薄商いだろう。では、昨年の膠着感を打開したのは何だったのだろうか。◇昨年に売買代金が倍増するきっかけとなった出来事とは?昨年の9月14日。東証1部の売買代金は前日の7697億円から1兆6268億円へと倍増した。1つの要因はこの日がメジャーSQ(特別清算指数)ということがあげられるだろう。しかし、この日をきっかけに相場は活気を取り戻し始めた。原因は前日に実施されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備理事会)がQE3(量的緩和の第3弾)の実施を発表したことだ。市場が期待していたQE3が実施されたことによって、株式市場は閑散から徐々に活気づいた。そして、それから2か月後の11月14日。民主党の野田総理が解散について明言したことをきっかけに、株式市場は歴史的な上昇をみせた。その後、衆院選を経て自民党が与党に返り咲き、アベノミクス相場、日銀の異次元緩和へと続いていったのである。◇米量的緩和の縮小が決定するXデーは9月18日か12月18日?さて、足元の相場を見てみると、1つの大きなテーマとなっているのは米国の量的緩和の縮小時期だ。ちょうど1年前に相場の転換点となった量的緩和が、縮小時期を巡って再び相場のポイントになっているということである。そして、量的緩和の縮小時期を巡っては見方が割れている。年内に縮小が始まるというのは市場のコンセンサスではあるが、緩和からちょうど1年後の9月に縮小が始まるとの見方も根強い。バーナンキFRB議長の任期が来年1月末で終了することから、新任議長に緩和縮小というマーケットに歓迎されない施策でスタートさせるようなことはしないだろうから、年内縮小開始というのはもっともだろう。問題は9月なのか、年内とすればいつなのか、ということになる。今年のFOMCは9月17日−18日、10月29日−30日、12月17日−18日の3回が予定されている。9月に見送って1か月後の10月というのは考えにくいので、おそらく縮小が決定するのは、9月18日か12月18日のどちらかになる可能性が高いだろう。そしてそれは、相場の転換点となることも意味する。例年であれば、毎年8月下旬に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジウムが、今後のFRBの重要な動きを予告する場だとされてきた。実際、バーナンキ議長は昨年のジャクソンホールでQE3の実施前に、量的緩和の効果について言及している。しかし、今回バーナンキ議長は世界の中銀総裁や金融政策当局者らが集まるこの会合を欠席する予定だ。FRB議長の欠席は過去25年で初めてで、FRB高官が公式に発言する機会もないというのは極めて異例だ。9月のFOMCを前に緩和縮小時期のヒントを得る機会を失ってしまったわけだが、今後の経済指標や要人発言等で徐々に織り込んでいくことになるだろう。◇アベノミクスは再び相場を拡大させるか?相場のターニングポイントは?国内に目を向ければ、足元で"アベノミクス"という言葉を聞く機会が少なくなっているように感じるが、これは安倍首相が夏休みを取っていることが理由というわけではないだろう。自民党としては、今年最大の目標だった参院選での勝利とねじれ解消が達成され、長期政権の基盤が整った。今後の大規模な金融政策への充電期間であって欲しいものだが、15日に出てきたのは法人税減税の検討を否定する発言だった。麻生財務相は15日の閣議後会見で、現段階で法人税を引き下げても効果は限定的だと発言。さらに菅官房長官は、安倍首相が法人税の引き下げを検討するよう指示したとの報道も否定した。この発言を受けて金融政策期待が後退し、株式市場には売りが膨らんだ。うがった見方をすれば、参院選前であればこのような発言は出なかったのではないだろうか。選挙のための経済政策だったと言われないためにも、自民党にはさらなる大規模な金融緩和策を期待したい。最後に、相場のターニングポイントについてまとめておくと、現状の閑散相場が解消される可能性が高いのは、来月13日のメジャーSQと翌日からの3連休終了後に開催される17日−18日のFOMCということになる。そしておそらく6日の米雇用統計の結果によって、ある程度量的緩和の縮小に関してマーケットは織り込んでいくのではないだろうか。いずれにしても連日の猛暑が落ち着くとともに、もう少しで夏枯れ相場から再び活況相場が始まることだろう。それまで方向感のない動きに振り回されることなく、冷静に次の相場に備えておきたい。

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