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2013年3月16日土曜日

証券ディーラー「プロの視点」(3/16)

周近平体制発足後も低迷の続く中国株式市場3月5日、中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が始まりました。
今回の全人代では胡錦濤国家主席が退任し、後任に周近平氏が選出。
周氏は昨年、中国共産党の総書記と軍の統帥権を握る党中央軍事委員会主席に就任しており、これで党・軍・国家の三権を掌握したことになります。

これから最大で2期10年、周近平体制が続くことになりますが、新たな指導者の誕生による期待感とは裏腹に、中国の株式市場は世界的に見ると出遅れ感が強い状態です。

まずはチャートを見てみましょう。
※上海総合株価指数(日足1年)http://www.kabutomato.jp/lp/images/130315/shanghai_chart.html
昨年11月15日に始まった周近平新体制以降、上海総合株価指数は低迷が続き、11月27日には2009年1月以来、約3年10カ月ぶりに大台の2000ポイントを下回りました。
ちょうど日本では、前日の14日に野田前首相による解散・総選挙発言を受けて、翌日から急騰を始めたときです。

その後、世界的な株式市場の上昇に引っ張られる格好で反発したものの、史上最高値を更新する米国ダウ平均や、アベノミクスによって急騰を続ける日経平均株価に比べると、上昇率は小さくなっています。

2月以降は上昇も息切れしてしまい、上海総合株価指数は直近1カ月半で、高値から約7.8%(日経平均で計算すると約980円)の下落となっています。
中国低迷の要因は?では、なぜ中国の株式市場は低迷をしているのでしょうか。

最も大きな原因は景気回復期待が膨らんでいないことです。
中国のGDP(国内総生産)伸び率は、2012年第3四半期まで、7四半期連続で鈍化していました。

2012年第4四半期は回復したものの、今年の経済成長率目標を7.5%と設定しているように、10%を超えるような高度成長時代ではなくなっています。

また、中国では海外からの投資資金によって金融市場が不安定になることを懸念し、外国人投資家による投資を大幅に規制していることも、上昇が鈍い一因だと言われています。

外国人投資家を規制することによって、中国の株式市場は全体の70%を国内の個人投資家が占めることとなり、金融市場の動向以上に民間の景況感が株価に与える影響が大きくなってしまうのです。
規制せざるを得ない不動産価格の高騰中国株式市場は、直近では軟調な展開が続いており、ダウ平均が史上最高値を更新し、TOPIXが3年ぶりに1000ポイントを回復する中で、3月4日の上海総合株価指数は前日比−3.65%の大幅下落となりました。
下落率は2010年11月12日以来の大きさです。

原因は、上昇の続く不動産価格に対して中国政府が規制を発表したことです。
規制の内容は不動産の譲渡益に対して20%の税金を課すというもの。
これによって、売却を前提とした不動産投資を抑制し、価格上昇を抑えようとしたのです。

この不動産バブルも、中国株式市場低迷の一因です。
日本のアベノミクスや米国のQE3(量的緩和の第3弾)のように、中国も金融緩和によって景気回復を図りたいものの、不動産価格の上昇が止まらないため、インフレ懸念から、金融緩和が実行できない状態となっているのです。

まとめると、中国株式市場の低迷は、外国人投資家に対する規制によって、景況感の回復しない個人投資家が株式市場に戻ってこなくなっていること、そして、不動産バブルによるインフレ懸念が強いため、金融緩和による景気浮揚策が取れないことが原因となっているのです。

さらに、中国国家統計局が今月9日に発表した2月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+3.2%と1月(同+2.0%)から加速したことで、インフレ懸念が拡大。

止まらない不動産価格の上昇を抑制するために、金融緩和どころか金融引き締め観測が出ていることも、中国株が今後しばらく軟調な動きをみせるとの見方につながっています。
中国株の低迷は国内の関連株にも波及中国株式市場の低迷は、日本の株式市場にも影響を及ぼしています。
日経平均株価が昨年来高値を更新し続ける中で、ファナック<6954>、日立建機<6305>、コマツ<6301>といった中国関連株の値動きは総じて軟調です。

※日経平均と中国関連株の相対チャート(日足:2月以降)http://www.kabutomato.jp/lp/images/130315/sotaihikaku_chart.html
上記のチャートは2月1日時点を100とした日経平均株価と中国関連のファナック<6954>と日立建機<6305>、そして足元の相場で上昇の目立つ銀行や証券、不動産などの金融株から野村HD<8604>を記載しました。

先ほどの上海総合株価指数のチャートでは、直近高値を2月初旬につけて調整局面入りしていますが、中国関連株はその動きに連動している様子が分かります。

ここから想定される今後の値動きは2つあります。
1つは中国関連株の下落が相場の重石となり、上昇していた金融株や輸出関連株への買いが一服するとともに、全体相場が調整局面入りするというもの。

そしてもう1つは、世界の株式市場に比べて相対的に割安感が出ている中国株式市場の上昇とともに、今度は中国関連株が全体相場をけん引していくというものです。

今のところ前者の方が可能性は高そうですが、今月に入って中国市場の上昇を期待させる材料も出てきています。

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