為替ニュース

直近の決算発表予定

2013年5月18日土曜日

証券ディーラー「プロの視点」(5/18)

日経平均株価の急騰とマザーズ指数の大暴落!株式市場に一体何が・・・?日経平均株価の上昇が続いています。
今月14日には前日比+337.61円と急騰し2007年12月28日以来、約5年4カ月ぶりに1万5000円台を付けました。
ニュースでも連日株価の上昇が伝えられ、1万5000円の節目到達も大きく報じられていました。

一方、ほとんど報じられていませんが、実はこの日のマザーズ指数は8.2%安と大暴落しています。
1日の下げ幅としては約6年10か月ぶりの大きさです。
さらに、ジャスダック市場の主力銘柄で構成する、JASDAQ
株式市場の転換日は、やはり日銀の異次元緩和だった!循環物色というのは、上昇した銘柄を売って得た資金を出遅れた銘柄に振り分けて、今度はその銘柄が上昇して得た利益でまた別の銘柄へと資金を振り分けていく投資行為です。

アベノミクスに端を発した昨年末からの上昇では、確かに循環物色が効いた相場でした。
全体相場が上昇基調を継続する中で、相場をけん引するセクターや銘柄が順番に現れていたからです。

しかし、直近の値動きを見る限りでは、この動きは継続しているとは考えにくいのではないでしょうか。
どういうことかというと、足元の相場で大型株を買っている投資家と、新興・小型株を買っている投資家は全く別であり、株式市場内での資金は循環していないのではないか、ということです。

では、いつからこの動きになったのかとチャートを振り返ってみると、やはり4月4日の日銀金融政策決定会合で発表された異次元緩和が転機であることが見えてきます。

以下は、株式市場が上昇に転じた昨年11月15日以降の日経平均株価とマザーズ指数の相対チャートです。

日経平均株価・マザーズ指数:相対チャート(緑色がマザーズ指数、青色が日経平均)
2012年11月15日〜2013年5月17日http://www.kabutomato.jp/lp/images/130517/nikkeiheikin-mothers_chart.html
この2つのチャートを見比べると、4月4日の異次元緩和発表以降、相場の動きが変化していることが分かります。
債券売り・株式買いの活発化が相場の乱高下を誘発しているでは、足元の上昇を演出している日銀はどのようなスタンスなのでしょうか。

先週末11日にロンドンで開催された、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)終了後に行われた会見で、麻生財務相と黒田日銀総裁は、「量的・質的金融緩和」における以下の3つの効果について言及しています。

(1)長めの金利や資産価格のプレミアムに働きかける効果
(2)民間金融機関に対しリスク資産運用や貸出の増加を促す  「ポートフォリオ・リバランス効果」
(3)市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果
この内、黒田総裁は2番目の「ポートフォリオ・リバランス効果」について、「国債から他の資産へあるいは貸出へシフトすることが考えられ、それは既に起こっている」と発言しました。

では、実際に日本の長期国債利回り(10年国債利回り)をみてみましょう。

10年国債利回り(1年)http://www.kabutomato.jp/lp/images/130517/nikkeiheikin-mothers_chart.html
10年国債利回り(20営業日)http://www.kabutomato.jp/lp/images/130517/tyokikinri_1year_chart.html
ちょうど最低金利となっている部分が異次元緩和を発表した4月4日です。
黒田総裁の発言の通り、この日を境に長期金利は上昇に転じていることがわかります。

長期金利が上昇するということは、価格は下落しているということですから、異次元緩和から債券売り・株式買いの動きが始まったということになります。

一方、11日のG7後の会見で黒田総裁は「日銀は、年間50兆円のペースで国債の保有残高を増やしていくわけで、長期金利が跳ねるようなことは予想していない」と発言しました。

しかし、先ほどのチャートを見てみると、現実に長期金利はその後急騰しています。
つまり、ここから懸念される事柄としては、日銀はマーケットを適切にコントロールできていないのではないか、ということです。

もちろん、株価や為替、金利はマーケットが決めるものであり、中央銀行が決定するべきものではありません。
ただ、方向性を定めることができないようであれば、異次元緩和の正当性に対して懐疑的な見方が強まってくる可能性はあるでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブログ アーカイブ