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2013年2月16日土曜日

証券ディーラー「プロの視点」(2/16)

■ 〜 為替と株式の連動性が高まる 〜 ■       週末15日の日経平均株価は133.45円安と大幅反落となりました。
下落の主な要因は円高です。
ドル/円とユーロ/円が、いずれも日中に1円近くの下落をみせたことで、ポジション調整の売りが膨らんだようです。

ただし、週末の円高の理由は明確です。
15日夜からロシアで開催されている20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、直近の円安に関する議論が行われる予定であり、各国からは日本の金融緩和は円安誘導である、との批判が膨らんでいることから、円売りのポジションを解消する動きが強まったということです。

年末からの株価上昇は、日銀の金融緩和とそれに伴う円安進行が牽引してきたものです。
足元の日経平均はやや上値が重くなっていますが、11日の1ドル=94円半ばから15日までに2円ほど円高が進んだ動きと重なっていることからも株式市場と円相場の関係が分かります。
■ 〜 各国からは円安に対する批判 〜 ■円安が加速し、G20が近付くにつれて日本の金融緩和が円安誘導であるとの批判が各国から出ています。

今年に入ってからは、バイトマン独連銀総裁が日銀に対する日本政府の金融緩和圧力について、「為替レートが一段と政治問題となる可能性がある」と発言し、日本政府の動きをけん制。

また、キング英中銀総裁「通貨安による輸出の増加ために措置をとった国がいくつかある」と日本への批判と取れる発言をしたほか、韓国の朴企画財政相は「G20で日本の金融政策による影響に関して議論する」との発言を行っています。

さらに、ドイツのメルケル首相は1月24日のダボス会議において、為替操作に対する問題意識の高まりとともに、日本に対する懸念を明言。
日本を名指しで批判しています。
■ 〜 あくまでも円高の修正であるとの声も 〜 ■   このように、各国からは批判的な声が強い状態ではありますが、すべての国が批判的なわけではありません。

G20の議長国であるロシアのストルチャク財務次官は今月13日、「円はこれまで明らかに過大評価されてきた」と語り、あくまでも直近の円相場の動きは、過度な円高の修正であるとの認識を示しました。

また、ブレイナード米財務次官は11日、「デフレを終わらせ、成長を取り戻すための日本の努力を支持する」と円安容認ととれる発言をしたことから、今後の円安基調が継続するとの見方が強まり、翌日の日経平均株価は200円超の上昇をみせました。

各国の対応が違うのは当然ですが、特に米国が円安に批判的でないのには、欧州やアジア各国とは違った理由が存在します。
■ 〜 円安批判をしない米国の思惑 〜 ■       通貨安によって輸出を促進し、経済を立て直そうとするのは各国でほぼ共通しています。
米国も例外ではなく、先ほどのブレイナード米財務次官の発言は米製造業、特に自動車産業界からの反発があったようです。

しかし、それ以上に米国が望んでいるのが「同盟国としての日本の復活」だと言われています。

2007年のサブプライム・ローン問題からリーマン・ショック、そしてユーロ圏の金融危機によって、リスク回避先として選好されてきた日本円でしたが、それによって、世界の主要な株価指数に比べて反発の機会を失ってきました。

その間、経済的にも軍事的にも存在感を増してきたのが中国ですが、米国としては、政治的に協調姿勢を取りにくい中国よりも、ここで同盟国として日本に復活してもらうことで、将来的な政治リスクを回避しようとしていると見られています。

もちろん、米国内の輸出産業には配慮する必要があるものの、NYダウはすでにリーマン・ショック前の株価を回復し、史上最高値を伺う水準まで上昇していることから、米国の金融緩和政策は効果が見えたと言えます。

ここからさらに経済を回復させるためには、ドル安による輸出の増加を目指すよりも、日本など貿易国の経済が回復することによって米国からの輸出を増やしたいとの見方もできるでしょう。

結局のところ、自国(米国)経済の回復によって、輸出の増加と中国のけん制につながる、日本の通貨安をある程度容認しているということになります。

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